EV充電器の選び方
以下の要素から充電器を選びましょう。(それぞれの項目をクリックすると、詳しい説明が表示されます)
課金は有り?無し?
EV充電器には、課金システムを搭載することができます。
課金システムを搭載すると、充電料金がその場で決済されるため、設置者は平等な充電器運用を簡単に行うことができます。また、e-Mobility Power(eMP)と連携することで、自動車会社が発行する充電カードでの充電が可能になるので、多くのEVユーザーの呼び込みにもつながります。
毎月のシステム利用料がかかりますが、不特定多数が利用する場所や、手間をかけず平等な充電器運用をしたい場合に搭載されるシステムです。
一方で、社有車での利用であるため料金決済が不要な場合や、マンション居住者向けの設置であるため利用者が特定される、または後日電気料金として徴収できる場合は、課金システムは不要です。
充電料金を徴収する際は、充電履歴からの料金算出が必要ですが、システム利用料が不要なので、ランニングコストを抑えた運用が可能です。
課金あり | ・充電料金をその場で決済できる ・システム利用料がかかる ・WEB上の管理画面で設定や使用状況等を管理 ・eMPとの連携で、自動車会社が発行する充電カードでも充電可能* *マンションなどローカル運用の場合は、eMP連携の対象外 ・不特定多数が利用するスペースに最適 |
課金なし | ・システム利用料などのランニングコストが不要 ・充電履歴で充電管理 ・集合住宅や企業駐車場などに最適 |
ユーザー認証をつける?
充電器をただ設置しただけでは、不特定多数の人が無断・無料で充電器利用できる状態となります。ユーザー認証とは、充電器利用の際に充電カードやアプリで認証をする機能で、利用者の制限、無断充電の防止、充電管理に役立つ機能です。
課金システムを搭載した場合、ネットワークを使った認証が行われます。オンライン上での充電管理となるため遠隔地からでも充電履歴や状況を確認することができます。
課金システムを搭載せずユーザー認証をしたい場合は、ネットワークを利用しない「プライベート認証」を搭載することで、利用者の制限、無断充電の防止、充電管理をすることが可能です。
設置場所は?
EV充電は、設置場所によって目的がことなりますので、設置場所に適した機器を選定することが必要です。
自宅や職場などで日常的に行う「基礎充電」は、急ぐ必要がなく長時間かけて充電するため、普通充電器が適しています。
高速道路SAや、公共施設、給油所など、移動中に立ち寄って行う「経路充電」は、短時間の滞在で充電する必要があるため、急速充電器が適しています。
お出かけ先で滞在中に行う「目的地充電」は、滞在時間によって設置する充電器がことなり、1時間未満の滞在が想定される施設には急速充電器、長時間の滞在が想定される施設には普通充電器が適しています。また、普通充電器の複数台設置をメインとして、お急ぎのお客さま用に急速充電器を1台設置するパターンもあります
基礎充電 | 経路充電 | 目的地充電 |
---|---|---|
自宅や職場などで日常的に行う充電(自宅、職場など) | 移動中に立ち寄って行う充電(高速道路SA、公共施設、給油所など) | お出かけ先の滞在中に行う充電(商業施設、宿泊施設、テーマパークなど) |
普通充電器 (3-6kW出力) | 急速充電器 (30-120kW出力) | 普通充電器 急速充電器 |
・8~16時間かけて満充電 ・1基あたり20~40万円程度(工事費を除く) ・セルフメンテナンスが主体 | ・20分~1時間かけて80%充電 ・1基あたり200~400万円程度(工事費を除く) ・年に1回のメーカーメンテを推奨 | 短時間滞在には急速充電器、長時間滞在には普通充電器がおすすめです。 |
EV車台数は?
EV台数が少ない場合は設置場所に合わせたEV充電器を設置しますが、EV台数が多い場合には運用にも工夫が必要です。
例えば、急速充電器を使って次から次へと車両を充電したり、普通充電器を複数台置いて同時に充電するといった運用があります。
急速充電器で効率よく充電する方法として、Q-tecnoの急速充電器[QC30D]による、2つの充電コネクタを使った充電を推奨します。片側のコネクタが充電終了すると自動的にもう一方コネクタのEV充電を開始するため、充電待ちの行列(充電渋滞)の緩和が期待できます。
また、普通充電器で複数台のEVを同時充電する方法として、Q-tecnoの複数台EV充電システム(充電コントローラー)による運用を推奨します。普通充電器を自動制御して電気料金に沿った最適な充電が可能です。また、普通充電器は増設ができますので、EV台数に合わせて設置プランを立てることが可能です。
工事内容は?
工事内容は、普通充電器と急速充電器で大きく異なり、費用の目安としては、充電器本体と同じくらいかかります。
普通充電器は交流電源(100Vまたは200V)で充電するシンプルな構造で穏やかに充電するため、設置費用を抑えることができます。
一方、急速充電器は直流の大電力で充電する構造で普通充電器の10倍を超える速さで充電するため、大がかりな電源設備が必要で設置費用は普通充電器より高額となります。また、急速充電器は大型になりますので、設置スペースや電気契約等も確認が必要です。
工事内容は、機器だけでなく設置場所や設置方法にも大きく左右されますので、設置前には必ず現場調査が必要です。
機器仕様(充電出力)
EV充電器の充電出力は機器によって様々です。大きい充電出力であれば短時間で充電でき、充電出力が小さければ長時間かけて充電を行います。充電出力が10kW未満のものを普通充電器といい、それ以上のものを急速充電器といいます。充電出力が大きければ、電気設備も大きなものが必要になるため、一般的には滞在時間の長さで充電出力の大きさ、つまり普通充電器か急速充電器を選択します。
普通充電器は3kW出力が主流ですが、Q-tecnoの普通充電器は6kW出力なので、2倍の速さで充電することができます。
種類 | 普通充電器 | 急速充電器 |
---|---|---|
充電出力 | ~10kW 3kWが多い | 10kW~ 30kW、50kWが多い |
充電時間 | 長い(数時間) | 短い(30分~1時間) |
設置・運用コスト | 比較的安い | 比較的高い |
EV車種は?
EV充電器の充電コネクタは規格が統一されているため、一部を除いた全てのEV充電に対応しています。輸入車の場合は、輸入時に規格を統一されるため充電が可能です。
EV充電器(急速充電器)規格:CHAdeMO
EV充電器(普通充電器)規格:JARI
メーカー | 車種 | 電池 | 急速充電時間 |
三菱 | i-MiEV | 16kWh | 30分 |
三菱 | MINICAB-MiEV | 16kWh | 35分 |
三菱 | MINICAB-MiEVトラック | 10.5kWh | 15分 |
三菱 | アウトランダーPHEV | 12kWh | 30分 |
三菱 | エクリプスクロスPHEV | 13.8kWh | 25分 |
日産 | リーフ | 40kWh | 40分 |
日産 | リーフe+ | 62kWh | 60分 |
トヨタ | プリウスPHV | 8.8kWh | 20分 |
トヨタ | RAV4 PEV | 18.1kWh | 普通充電のみ |
レクサス | UX300e | 54.3kWh | 50分 |
ホンダ | クラリティPHEV | 17.0kWh | 30分 |
ホンダ | Honda e | 35.5 kWh | 30分 |
Peugeot | iOn | 14.5kWh | 30分 |
Peugeot | Partner Tepee Electric | 22.5kWh | 30分 |
ポルシェ | タイカン | 93.4kWh | 93分 |
Xpeng | G3 | 57.5kWh | 38分 |
Bollinger | B1 | 60kWh、100kWh | 45分、75分 |
シトロエン | Berlingo | 22.5KWH | 30分 |
シトロエン | C-Zore | 14.5kWh | 30分 |
Kia | Soul | 27kWh | 30分 |
スバル | Stella | 9.2kWh | 15分 |
日産 | e-NV200 | 40kWh | |
マツダ | Demio | 20kWh | 40分 |
ホンダ | Fit | 20kWh | 20分 |
いすず | エルフEV | 40*2kWh | 60分 |
総電力制御
普通充電器は急速充電器に比べると充電出力が小さいものの、複数台が同時に充電を開始すると合計の充電出力(総電力)が上がります。そこで、あらかじめ総電力の上限値を設定しておき、それを超過しないように各充電器の出力を自動で調整するのが「総電力制御」です。
上限値を設定しておくことで、需要電力超過による電気契約更新、電気料金の跳ね上がりを防止することができます。また、既築マンションなど充電器運用のための電気容量が限られている場合にも、電気設備を増設することなく充電器運用が可能です。